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信託財産・不動産・受託者の活用

家族信託で不動産管理をする方法|おすすめのケースとメリットを解説

梶原 朋子 / 更新:2026-06-24
家族信託で不動産管理をする方法|おすすめのケースとメリットを解説
親が認知症になったら、実家や賃貸物件はどう管理すればいいのか。元気なうちに何かできないかと相談に来る方は本当に多いです。結論から言うと、不動産の管理を家族に託したいなら家族信託が有力な選択肢になります。判断能力が落ちても、受託者になった家族が売却や賃貸を続けられるからです。
  • 家族信託とは、信頼できる家族に不動産の管理・処分を任せる仕組みです。
  • 認知症で本人の判断能力が落ちても、受託者が売却や賃貸を続けられます。
  • 不動産を信託するには、受託者名義への信託登記が必要です。
  • 信託契約書は公正証書で作成する運用が一般的です。
  • 費用は公開している事業者で総額40万〜50万円程度と案内する例があります。

家族信託 不動産 管理 方法の結論

【第1回】事例①~認知症に備える不動産管理信託
【第1回】事例①~認知症に備える不動産管理信託

不動産の管理を家族に託す方法として、最も柔軟なのが家族信託です。

家族信託は法律用語ではありません。信託法でいう信託のうち、家族間で行うものを実務でこう呼んでいます。委託者が信頼できる受託者に財産を託し、特定の目的に従って管理・処分してもらう仕組みです。

私が司法書士事務所で補助者をしていた頃、最も多かった相談が「親の認知症が心配」というものでした。家族信託なら、元気なうちに不動産の管理権限を子へ渡しておけます。

所要時間の目安と難易度を先に示します。相談から信託登記完了までは、内容にもよりますが1〜3か月ほど。難易度は「専門家ありきで中級」と考えてください。契約書を自力で作り込むのは正直おすすめしません。

不動産の家族信託 進め方の全体像
ステップやること完了の目安
1信託の目的と託す不動産を決める誰に何を何のために託すか紙に書ける
2受託者・受益者を決める家族の合意が取れている
3信託契約書を公正証書で作る公証役場で公正証書が完成している
4受託者名義へ信託登記をする登記簿に信託の記載が入っている
5信託口口座を開設し運用開始受託者が管理・取引できる状態
不動産を信託したら、受託者名義への信託登記が必須です。これを忘れると、せっかく契約しても第三者に権限を主張できません。

家族信託の仕組み

家族信託の核心は、不動産の「名義」「管理権限」「利益を受ける権利」を分けて設計できる点です。

家族信託の仕組み

信託では、登記上の名義と管理権限を受託者に移しつつ、家賃収入などの利益を受け取る人(受益者)を別に定められます。たとえば親が自宅を子に託し、管理は子がやるけれど利益は親が受ける、という形が作れます。

登場人物は3者です。財産を託す委託者、管理する受託者、利益を受ける受益者。親が委託者兼受益者、子が受託者というのが典型例です。

信託には、信託銀行などが行う商事信託と、家族が行う民事信託があります。家族信託は民事信託の一類型です。

家族信託の登場人物
立場役割典型例
委託者財産を託す人
受託者財産を管理・処分する人
受益者利益を受け取る人親(委託者と同じ)

不動産の家族信託をおすすめすることが多いケース

家族信託が向くのは、本人の判断能力低下後も不動産の管理や処分を止めたくないケースです。

実務で説明されているのは、自宅だけでなく戸建て・マンション・収益物件まで幅広く対象になるという点です。私が見てきた相談も、自宅と賃貸アパートの両方を抱える方が多かった。

次の3つは、相談現場でよく出てくる典型パターンです。順番に見ていきます。

ケース1.施設入所で空き家になる家の管理・処分を家族に託したい

家族信託したら不動産の名義が変わるって本当?
家族信託したら不動産の名義が変わるって本当?

親が施設に入り実家が空き家になる場合、家族信託なら子の判断で売却まで進められます。

認知症などで本人の判断能力が低下しても、事前に信託した財産については受託者が管理・取引を続けられる設計が可能です。これが家族信託を認知症対策に使う最大の理由です。

成年後見だと、自宅の売却は家庭裁判所の許可がいるなど動きが鈍くなります。私が補助者だった頃、後見では空き家の売却に何か月もかかったケースを見ました。信託なら契約に売却権限を入れておけば、子が買主と直接話を進められます。

ケース2.収益不動産の管理を自分で行うことが難しくなってきた

賃貸物件の管理が体力的・判断力的にきつくなってきたら、信託で管理権限を子に渡せます。

ケース2.収益不動産の管理を自分で行うことが難しくなってきた

受託者は賃貸・修繕・売却などの権限を持てます。ただし、どこまで任せるかは契約で具体的に定める必要があります。修繕はOKでも売却は別途協議、といった線引きも可能です。

正直、収益物件こそ信託の出番だと私は思っています。家賃の入金、入居者対応、修繕の判断は止められない。親が突然動けなくなると、口座が凍結されて修繕費すら払えなくなることがあるからです。

ケース3.障がいを持つ子へ安定的に財産を残したい

障がいのある子へ財産を残したいとき、家族信託なら利益の受取人を子に定めつつ管理を別の家族に任せられます。

名義・管理権限・利益を受ける権利を分けられるという信託の特性が、ここで効きます。管理が難しい子を受益者にして、信頼できる親族や専門家的な立場の人を受託者にする設計が考えられます。

このタイプは設計が一番難しい。子が亡くなった後に誰が利益を受けるのかまで決める必要があり、契約の作り込みが重くなります。専門家への相談は必須だと考えてください。

不動産を家族信託するメリット

司法書士が家族信託の悪いところを話します
司法書士が家族信託の悪いところを話します

最大のメリットは、認知症で本人の判断能力が落ちても不動産の管理・処分を止めずに済むことです。

このあと4つに分けて説明しますが、私が実務で「これは大きい」と感じる順に並べました。1番目の認知症対策が圧倒的に重い。残りは状況次第です。

1. 認知症になっても不動産の売却ができる

信託契約に売却権限を入れておけば、本人が認知症になっても受託者が不動産を売却できます。

1. 認知症になっても不動産の売却ができる

通常、不動産の売却には本人の意思確認が必要です。判断能力が落ちると売れなくなる。これがいわゆる資産凍結です。事前に信託しておけば、受託者が売却手続きを進められます。

ただし、契約書に売買の権限が書かれていないと売却できません。ここは後で詳しく触れますが、契約の作り込みがすべてです。

信託しても、契約条項に「売買」の記載がなければ受託者は売却できません。売却の可能性があるなら、必ず売却権限を契約に明記してください。

2. 不動産を相続する順位を指定できる

家族信託では、最初の受益者の次に誰が受益権を引き継ぐかまで指定できます。

親が受益者で、親の死後は配偶者、その次は長男、という順序を契約で決められます。遺言では一代先までしか指定できませんが、信託ならその先まで道筋を作れる。これは遺言にない強みです。

3. 任意後見制度よりも自由に不動産の管理・運用ができる

【不動産売却】家族信託とは?認知症対策に有効!親が元気な今のうちに!
【不動産売却】家族信託とは?認知症対策に有効!親が元気な今のうちに!

家族信託は、後見制度に比べて不動産の管理・運用の自由度が高いのが特徴です。

成年後見は本人の財産を守ることが目的なので、積極的な運用や処分が制限されます。家庭裁判所の関与もある。信託なら、契約で定めた範囲で受託者が裁量を持って動けます。

私の感覚では、財産を「守る」だけなら後見、「活かす・動かす」なら信託です。賃貸経営を続けたい家庭には後見はきつい。

4. 共有不動産の問題解消に役立つ

共有名義の不動産でも、信託で管理権限を一人の受託者にまとめれば塩漬けを防げます。

4. 共有不動産の問題解消に役立つ

共有不動産は、全員の同意がないと売却も大規模修繕もできません。誰か一人が認知症になると、それだけで動かせなくなる。信託で管理を集約しておけば、こうした行き詰まりを避けられます。

ただ共有のままにせず、最初から信託に入れておくのが前提です。もめてからでは契約に全員の同意を取るのが難しくなります。

よくある質問

相談現場で実際によく聞かれる質問を、費用や手続きの実情とあわせてまとめます。

費用については公開情報に幅があります。総額40万〜50万円程度と案内する事業者があり、別の案内では財産1億円以下で数十万円〜100万円程度、信託財産額の1.5〜2%とする例もあります。いずれも統計ではなく各社の実務案内なので、見積もりは複数取ってください。

よくある質問

家族信託 不動産 管理 方法とは?
信頼できる家族を受託者として、不動産の名義と管理権限を移し、契約で定めた目的に従って管理・処分してもらう方法です。受託者名義への信託登記が必要で、契約書は公正証書で作る運用が一般的です。
家族信託 不動産 管理 方法の費用は?
公開している事業者では総額40万〜50万円程度と案内する例があります。別の案内では財産1億円以下で数十万円〜100万円程度、または信託財産額の1.5〜2%とする例もあります。これらは公式統計ではなく各社の実務案内なので、個別に見積もりを取ってください。
家族信託 不動産 管理 方法の始め方は?
まず信託の目的と託す不動産を決め、受託者と受益者を定めます。次に信託契約書を公正証書で作成し、受託者名義への信託登記を行い、信託口口座を開設して運用を始めます。契約の作り込みが要なので専門家への相談をおすすめします。
自宅を家族信託することはできますか?
できます。実務でも戸建て・マンション・収益物件を対象にした説明があり、自宅も信託財産にできます。受託者名義への信託登記が必要です。
信託財産が不動産だけで、売却したら家族信託は終了しますか?
信託が終了するかは契約の定め次第です。売却代金は財産管理用の信託口口座に入金して管理を続ける設計が一般的なので、不動産を売っただけで自動的に終わるとは限りません。契約書の終了事由を確認してください。

最後に一言。家族信託は万能ではありませんが、認知症で不動産が動かせなくなる前に手を打てる数少ない方法です。まずは託したい不動産と家族構成を紙に書き出して、専門家に持ち込むところから始めてください。

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梶原 朋子

元司法書士補助者(相続・不動産登記実務に約8年携わる) ・ 相続・終活分野の専門Webメディアにて執筆実績多数

司法書士事務所での補助者経験を経てフリーランスライターに転身。家族信託や相続手続きの取材・執筆を専門とし、実際の相談事例や専門家への直接取材をもとに、制度の仕組みから費用の実情まで正確に伝えることを心がけている。

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梶原 朋子
司法書士事務所での補助者経験を経てフリーランスライターに転身。家族信託や相続手続きの取材・執筆を専門とし、実際の相談事例や専門家への直接取材をもとに、制度の仕組みから費用の実情まで

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