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家族信託の銀行口座開設のやり方|信託口口座の手順・費用・必要書類を解説

梶原 朋子 / 更新:2026-06-24
家族信託の銀行口座開設のやり方|信託口口座の手順・費用・必要書類を解説
家族信託を始めるとき、多くの方が最初につまずくのが「銀行口座をどうするか」です。普通預金とは何が違うのか、どこの銀行で作れるのか、いくらかかるのか。正直、ここで手が止まる相談者を私は何人も見てきました。

結論から言うと、信託財産はできるだけ「信託口口座」で管理するのが安全です。ただし対応する金融機関は限られ、開設には公正証書による契約書と金融機関の審査が必要になります。

この記事では、信託口口座の開設のやり方を手順ごとに整理し、費用・期間・必要書類、対応金融機関、開設後の管理まで一通り解説します。読み終えるころには、明日から何を準備すればいいかが見えるはずです。

所要時間の目安:申込から開設完了まで数週間〜1か月程度。難易度:中(公正証書作成と金融機関の審査が必要なため、専門家の関与がほぼ前提)。

家族信託で使う銀行口座の基本|信託口口座とは

家族信託で使う信託口口座とは?開設方法と注意点も解説!
家族信託で使う信託口口座とは?開設方法と注意点も解説!

家族信託では、親(委託者)の財産を子(受託者)が管理します。その管理用にお金を入れておくのが信託口口座です。

ここで大事なのは、受託者の財布と信託のお金を完全に分けること。これを「分別管理」と呼びます。三十三銀行は、信託契約書に「信託口」等の名称が付された口座で分別管理する旨の条項を求めることを留意事項として示しています。

信託口口座と普通預金口座の違い

普通預金口座は名義人個人のものです。受託者個人の口座に信託のお金を入れると、受託者が亡くなったとき相続財産と混ざってしまう恐れがあります。

信託口口座は名義が「委託者○○ 受託者△△ 信託口」のような形になり、受託者個人の財産とは法的に切り離されます。差し押さえや相続の影響を受けにくいのが最大の違いです。

信託専用口座(屋号口座)とは

信託口口座を開設できる金融機関が見つからない場合の代替が、受託者個人名義の通常口座を信託専用に使う方法です。屋号口座と呼ばれることもあります。

あくまで受託者個人名義なので、見た目は普通の口座です。帳簿上は信託財産として管理しますが、名義そのものが分かれているわけではありません。ここが後のリスクにつながります。

信託口口座を使うメリットとデメリット

メリットははっきりしています。受託者個人の財産と切り離せること、受託者が亡くなっても口座が凍結されず後継受託者へ引き継げること。これは信託の安全性そのものです。

一方デメリットは、対応する金融機関が限られること、そして開設手数料がかかること。三十三銀行は口座開設手数料を50,000円(税抜)と案内しています。正直、ここを高いと感じる方は少なくありません。

信託口口座と信託専用口座の比較と選び方

どちらを選ぶか。私の立場をはっきり言うと、可能なら信託口口座を強く勧めます。費用は確かにかかりますが、いざというときの安心感が段違いだからです。

信託口口座と信託専用口座の比較と選び方

比較表でわかる違い

信託口口座と信託専用口座の比較
項目信託口口座信託専用口座(屋号口座)
名義委託者・受託者・信託口の表示受託者個人名義
分別管理名義レベルで分かれる帳簿上のみ
受託者死亡時凍結されず後継者へ承継個人の相続財産として凍結リスク
差し押さえ信託財産は守られやすい受託者の債務で差し押さえリスク
開設費用手数料がかかる(例:三十三銀行は5万円税抜)通常の口座開設費用のみ
対応金融機関限られるほぼどこでも作れる

信託口口座を選ぶべきケース

信託する金額が大きい、信託期間が長い、受託者がまだ若くて長期管理が前提、こうしたケースは信託口口座一択だと考えます。

不動産の家賃収入を管理する場合も同じです。お金の出入りが続くほど、名義が切り離されている安心は大きくなります。

信託専用口座を選ぶべきケース

近隣に信託口口座を扱う金融機関がどうしても無い、信託額が小さく短期間で終わる見込み。そんなときの次善策が信託専用口座です。

ただし「楽だから」という理由で選ぶのはお勧めしません。リスクを理解したうえで、専門家と帳簿管理を徹底する前提で使うべきものです。

信託専用口座が凍結・差し押さえされるリスク

信託専用口座の弱点はここに尽きます。名義が受託者個人なので、受託者が借金を抱えて差し押さえを受ければ、信託のお金まで巻き込まれかねません。

受託者が亡くなったときも問題です。金融機関は名義人の死亡を知ると口座を凍結します。本来は信託財産なのに、いったん受託者の相続手続きに巻き込まれる。これが実務で一番怖いところです。

信託口口座を開設するやり方|手順を順番に解説

ここからが本題です。開設の大きな流れは「金融機関の選定 → 法務チェック → 公正証書化 → 口座開設・入金」の4ステップ。複数の解説でこの流れが共通して案内されています。

信託口口座を開設するやり方|手順を順番に解説

手順1 開設できる金融機関を選ぶ

まず最初に金融機関を決めます。順番を間違えやすいのですが、契約書を作る前に金融機関を選ぶのが正解です。

理由は、金融機関ごとに求める契約書の条項が違うから。先に契約書を完成させてしまうと、後から書き直しになります。確認の目安は「その金融機関が信託口口座に対応しているか」を電話や窓口で言質を取れていること。

手順2 金融機関の法務チェックを受ける

次に、信託契約書の案(ドラフト)を金融機関に提出して審査を受けます。三井住友信託銀行のFAQでも、専門職を通じて信託契約書を作成する旨が案内されています。

ここで「後継受託者が指定されているか」「分別管理の条項があるか」などをチェックされます。三十三銀行も後継受託者の指定を留意事項に挙げています。確認の目安は、金融機関から「この内容なら開設可能」という返答が得られること。

手順3 公正証書で信託契約書を作成する

法務チェックを通った契約書を、公証役場で公正証書にします。三十三銀行は、信託契約書を公正証書で作成することを開設条件として明示しています。

私的な契約書(私署証書)では開設を断られることが多いです。ここは省略せず、必ず公正証書にしてください。確認の目安は、公証役場で正本・謄本を受け取れていること。

手順4 口座を開設し資金を移動する

公正証書ができたら金融機関で口座を開設し、信託する現金を入金します。委託者本人の口座から信託口口座へ移すのが基本です。

つまずきやすいのが、委託者が認知症になってからでは送金手続きができないこと。元気なうちに資金移動まで終えるのが鉄則です。ここまでできれば、信託のお金を安全に管理する器が完成した状態です。

開設にかかる費用・期間・必要書類の目安

信託口口座開設はどんな銀行を選んだらいいの?あなたに合った口座開設時の進め方とポイントを教えます!
信託口口座開設はどんな銀行を選んだらいいの?あなたに合った口座開設時の進め方とポイントを教えます!

気になる費用と時間。正直に言うと、ここは金融機関でかなり差があります。確認できている範囲で具体的に示します。

開設手数料・最低預入額・維持コストの相場

開設手数料を明示している例として、三十三銀行は50,000円(税抜)と案内しています。最低預入額や維持コストは金融機関ごとに異なり、公表していないところも多いため、申込前の確認が必須です。

確認できない数字をここで適当に並べることはしません。手数料は必ず開設予定の金融機関に直接問い合わせてください。

申込から開設完了までの期間の目安

法務チェックと公正証書作成を挟むため、即日では終わりません。私が見てきた範囲では、契約書ドラフトの審査だけで数日〜数週間かかることが多いです。

審査・公証役場の予約・口座開設を合わせると、トータルで数週間から1か月ほどを見ておくと安全です。余裕を持ったスケジュールを組んでください。

必要書類のチェックリスト

複数の解説で、信託契約書・公正証書・本人確認書類・届出印・戸籍謄本・住民票などが例示されています。代表的なものを表にまとめます。

信託口口座開設の必要書類チェックリスト
金融機関により追加書類を求められる場合があります。
書類用途
公正証書による信託契約書契約内容と分別管理条項の確認
委託者・受託者の本人確認書類名義確認(運転免許証など)
戸籍謄本・住民票関係者の確認
届出印口座の印鑑登録
関係資料(信託財産の資料など)審査の補足資料

信託口口座が開設できる金融機関と条件

どこでも作れるわけではありません。ここを誤解したまま動き出すと、契約書を作った後で「うちでは作れません」と言われて頭を抱えることになります。

信託口口座が開設できる金融機関と条件

金融機関に求められる開設条件

三十三銀行が示す留意事項を整理すると、条件はおおむね次の通りです。公正証書による契約書、信託口名義での分別管理条項、後継受託者の指定。これらが揃っていることが前提になります。

言い換えると、契約書の作り込みが甘いと門前払いされます。だからこそ手順2の法務チェックが重要になるわけです。

楽天信託・地銀・信用金庫など対応状況の比較

対応状況は金融機関で大きく分かれます。私が確認できた事実ベースで言うと、ゆうちょ銀行は家族信託のための信託口口座は開設できないと案内されています。

金融機関の信託口口座対応(確認できた事実)
各社の最新の対応可否・条件は必ず公式に確認してください。
金融機関確認できている事実出典
三十三銀行信託口口座に対応。開設手数料5万円(税抜)、公正証書・分別管理条項・後継受託者の指定を要件として明示公式サイト
三井住友信託銀行信託口口座の開設に対応。専門職を通じた契約書作成を案内公式FAQ
ゆうちょ銀行家族信託のための信託口口座は開設できないと案内ミラシア解説

地銀や信用金庫は地域差が非常に大きく、同じ系列でも支店判断が分かれることすらあります。実名で一律に断言できないため、ここは正直に「個別確認が必須」と言い切ります。

遠方・非対面での手続きは可能か

口座開設は本人確認や審査が絡むため、対面を求められるケースが多いです。遠方の金融機関を選ぶと、何度も足を運ぶ負担が出てきます。

私の率直な意見としては、可能な限り自宅近くで対応してくれる金融機関を選ぶのが現実的です。家賃収入の管理など、開設後も窓口に行く場面が出てくるからです。

開設後の管理と受託者がやるべきこと

口座を作って終わりではありません。むしろここからが受託者の本番です。

開設後の管理と受託者がやるべきこと

できること・できないこと(融資・カード・振込)

信託口口座でできることは、信託目的に沿った入出金・振込です。一方で、融資やローンの借入、デビットカードの発行などは金融機関によって対応が分かれ、できないことも多いです。

将来アパートローンの借り換えなどを想定するなら、開設前に「融資に対応できるか」を必ず確認してください。後から「借入できない口座だった」と気づくと取り返しがつきません。

帳簿・収支記録など受託者の管理義務

受託者には信託財産を分別管理し、帳簿をつける義務があります。いつ・何のために・いくら動かしたかを記録に残すのが基本です。

通帳のコピー、領収書、収支のメモ。地味ですが、これが揃っていると受益者への報告も相続時の説明もスムーズになります。面倒でも最初から習慣にしてください。

不動産の家賃収入を入金管理する場合

信託財産に賃貸不動産がある場合、家賃の入金先を信託口口座に切り替えます。入居者や管理会社への振込口座変更の連絡が必要です。

固定資産税や修繕費などの支出も同じ口座から払えば、収支が一本化されて分かりやすくなります。私が関わった事例でも、口座を分けてからお金の流れが格段に追いやすくなりました。

受託者や委託者に万一があったときの口座の扱い

家族信託の手続きは自分でできる?
家族信託の手続きは自分でできる?

家族信託は長く続く制度です。途中で誰かに万一があったとき、口座がどうなるか。ここを知らずに始めると後で慌てます。

受託者が死亡・判断能力を失った場合と後継受託者

信託口口座の大きな利点がここで効きます。受託者が亡くなっても、口座は受託者個人の相続財産にならず凍結されません。あらかじめ指定した後継受託者が管理を引き継げます。

だからこそ三十三銀行も後継受託者の指定を要件にしているわけです。逆に指定がないと、信託そのものが行き詰まる恐れがあります。契約書で後継受託者を必ず決めておいてください。

委託者・受益者が死亡した場合の凍結と相続手続き

委託者兼受益者が亡くなると、多くの場合そこで信託が終了します。残った信託財産は契約で定めた帰属権利者へ引き継がれ、口座は解約・精算の手続きに入ります。

このとき帳簿がきちんとしているかどうかで、手続きの楽さがまるで変わります。最終的な計算書を作る場面で、日々の記録が効いてくるのです。

失敗事例から学ぶ|法務チェックで否認されないための注意点

私がこれまで見聞きした中で多いのが、契約書の段階でつまずくケース。複数の解説でも、信託契約書が金融機関の法務チェックを受ける運用が説明されています。

失敗事例から学ぶ|法務チェックで否認されないための注意点

否認される具体的なケースと修正方法

否認の典型は、分別管理の条項が不足している、後継受託者の指定がない、信託口の名称表示についての定めがない、といったものです。三十三銀行が留意事項に挙げる要素が欠けていると、ほぼ通りません。

修正方法はシンプルで、金融機関が求める条項を契約書に盛り込み直すこと。だからこそ公正証書にする前に審査を受ける順番が大事なのです。公正証書化の後に直すと、作り直しで費用も時間も二重にかかります。

よくある開設トラブルと回避策

一番多いトラブルは「契約書を完成させてから金融機関を探し、どこも対応していなかった」というパターン。順番が逆だったために、せっかくの公正証書が使えなくなるのです。

回避策は本記事の手順そのもの。先に金融機関を決め、ドラフトで審査を受け、それから公正証書にする。この順番を守るだけで、大半のトラブルは防げます。

家族信託の銀行口座に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問

家族信託の銀行口座開設のやり方とは?
金融機関の選定 → 信託契約書の法務チェック → 公正証書による契約書作成 → 口座開設・入金、という流れが基本です。三十三銀行などは公正証書での契約書作成や後継受託者の指定を開設条件として明示しています。先に金融機関を決めてから契約書を作るのが失敗しないコツです。
家族信託の銀行口座開設の費用は?
開設手数料を公表している例として、三十三銀行は50,000円(税抜)と案内しています。最低預入額や維持コストは金融機関ごとに異なり、公表していないところもあるため、開設予定の金融機関に直接確認してください。このほか別途、公正証書の作成費用がかかります。
家族信託の銀行口座開設の始め方は?
まず信託口口座に対応している金融機関を探すところから始めます。ゆうちょ銀行のように対応していない金融機関もあるため、対応可否を電話や窓口で確認するのが第一歩です。対応する金融機関が見つかったら、専門家に相談して契約書のドラフト作成と法務チェックに進みます。

最後にひとつだけ。信託口口座は「契約書を作ってから探す」のではなく「金融機関を決めてから契約書を作る」。この順番さえ守れば、開設のハードルはぐっと下がります。まずは近隣で対応している金融機関に一本電話を入れるところから始めてみてください。

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梶原 朋子

元司法書士補助者(相続・不動産登記実務に約8年携わる) ・ 相続・終活分野の専門Webメディアにて執筆実績多数

司法書士事務所での補助者経験を経てフリーランスライターに転身。家族信託や相続手続きの取材・執筆を専門とし、実際の相談事例や専門家への直接取材をもとに、制度の仕組みから費用の実情まで正確に伝えることを心がけている。

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梶原 朋子
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司法書士事務所での補助者経験を経てフリーランスライターに転身。家族信託や相続手続きの取材・執筆を専門とし、実際の相談事例や専門家への直接取材をもとに、制度の仕組みから費用の実情まで

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